メディアからの影響は本当なのか

 3. 体型への不満と女性の心身の健康
 
 体型に不満を感じることは、摂食障害に陥る要因のなかで最も一貫性のある、確実なもので、摂食障害だけでなく、自尊心の低下やうつにも影響を与えることがわかっています。(Neumark-Sztianer, Paxton, Hannan, Haines, & Story, 2006; Paxton, Neumark-Sztianer, & Hannan, 2006; Tiggemann, 2005) 体型への不満は女性の身体的、精神的健康への影響が大きいといえます。
 にもかかわらず、実際に様々なメディアで、太っている人は悪いイメージで描かれることが多く、テレビに映る「理想的」とされる人々は、普通の健康な人達の平均を全く反映していません。メディアで取り上げられる「理想的」な体型を持つ女性は、しばしば拒食症の診断がつくほど、低体重の人もいます。そういったメディアを繰り返し見ていると、それが現実を反映していると思いこんでしまいます。しかしそれは、現実の健康な人達の平均とはかけ離れており、多くの女性に自分の体型への不満を抱かせ、到底無理なダイエットや食行動に駆り立てます。メディアによって創り上げられた幻想が、現実の痩せの目標として女性の中に内在化されてしまうのです。そして、ほとんど実現不可能な、むしろ病気といえるほどの「理想の痩せ」に向かって努力することを突きつけられてしまうのです。
 この研究者らは論文で、教育や広告の分野において予防的な取り組みをすべきであることを提言しています。教育的な観点からは、メディアリテラシーを高めること、広告については痩せ礼賛のメディアに対して、より積極的に批判的になることを勧めています。

(この論文が出た際に、研究者らの所属する大学のウェブサイトで取り上げられた記事)
http://news.wisc.edu/sweeping-analysis-of-research-reinforces-media-influence-on-womens-body-image/